このヴァイオリンは、ストラディヴァリ自身の手によって完全に製作された最初の作品であると考えられている。非常に良好な状態であり、「Antonius Stradivarius Cremonensis Alumnus Nicolaij Amati, Faciebat Anno 1666(クレモナのアントニオ・ストラディヴァリ、ニコロ・アマティの弟子、1666年製作)」と記されたオリジナルのラベルが貼られている。このラベルは、ストラディヴァリがニコロ・アマティ(1596–1684)の弟子であったことを示す、唯一の証拠である。ヴァイオリンに造詣が深いコツィオ・ディ・サラブエ伯爵と親交のあったクレモナの伝記作家ヴィンチェンツォ・ランチェッティは、1819年に出版したクレモナのヴァイオリン製作者一覧の中で、ストラディヴァリが1666年頃に「Alumnus Nicolaij Amati(ニコロ・アマティの弟子)」と印字されたラベルを使用していたと記している。1900年4月、アルフレッド・ヒルはパリの弦楽器製作家ポール・セルデの工房でこのラベルを撮影し、著書『Life of Antonio Stradivari』(1902)に掲載した。この楽器の消息は1972年まで途絶えていたが、同年にパリのオークションで購入されたのち、イギリスへ持ち込まれた。ベルチャ四重奏団の第一ヴァイオリン奏者コリーナ・ベルチャによって10年間演奏されたのち、2013年にアシュモレアン博物館で開かれたストラディヴァリ展で「Serdet(セルデ)」の名で展示された。
このヴァイオリンは、優美なフォルムを特徴とするアマティの様式が最も明瞭に表れた初期作品の一つである。裏板のアーチの不均整や、各コーナーの細部にばらつきがある点など、製作技術の未熟さを示す特徴も見られるが、f字孔やスクロール等の形状に見られるように、後年のストラディヴァリ作品に発展していく独自の特徴がすでに表れている。笹川音楽財団はこのヴァイオリンを2026年2月に購入した。